謹賀新年
2024年元旦

本年も宜しくお願い申し上げます
 
新春オークション  (1月1日 9:00〜1月3日 24:00)
 
 普段は毎週土曜の午前9時にアップしている「今週の一押し」企画ですが、
お仕事の関係や朝一番と言う時間帯の関係でご覧になれないお客様が居られます。

今回の企画は出展標本を当初の10点から15点に増やし元旦9時から3日24時迄の期間に
其々の標本に入札をして頂く物です(複数入札可)。

1月4日(月)概ね午前中に最高額入札者の方に落札のご連絡が入りますので、
速やかなご入金をお願い致します。

また、落札後のキャンセル及びお取り置きは出来ませんのでご注意下さい。

オークション期間途中での入札状況および最終落札価格は非公開といたします。

なお 誠に恐れ入りますが、同時に通常商品の受注作業も行っておりますため
オークション標本に関するご質問等につきましては、オークション期間内に
ご回答できない場合もございますのでご了承ください。
 
※ 入札はメール又は FAX とし、以下の要領で
メール  mail@takeda-mineral.com
FAX 0297-78-6689 迄お願い致します。
                
            (例)
            ■ 件名 : 標本入札
            ■ 品番 : JQA-123  紫水晶   35,000 円 (千円単位)
            ■ 氏名 : 石野好雄 
            ■ 住所 : 〒302-0032 茨城県取手市野々井1060-5
            ■ 電話番号 : 0297-78-6689
            ■ メールアドレス : ishino-sukio@koubutu.com
           ■
その他ご希望 : 午前中配達指定希望 等

 E-NM947  Native Tellurium  自然テルル

北海道札幌市手稲区 手稲鉱山

標本左右 85mm  入札開始価格 ¥70,000

ほぼ全てが自然テルルより成る鉱石、裏側は切断面となります。。標本の厚さ約20mm

  M33S-301  Stibnite  輝 安 鉱   愛媛県 西条市 市ノ川鉱山

標本左右 136mm  入札開始価格 ¥480,000





(画像1 フライベルグ鉱山博物館の正面に飾られている市ノ川産輝安鉱の巨大結晶 2007年訪館時撮影)


我国が世界に誇る鉱物標本の西の横綱は市ノ川鉱山の輝安鉱でしょう。
アンチモン鉱石として輝安鉱を採掘した市ノ川鉱山は長い歴史を誇りますが、
この様な巨大結晶が出たのは明治期のほんの一時だけでした。
当時日本でこの巨晶の鉱物標本としての価値をあまり理解しておらず、
立派な標本の殆どは海外に流失してしまいました。
大英博物館に展示されている物や、
ドイツ・フライベルグの鉱山博物館に展示されている物(画像1)などは、その良い例です。
   この標本は、以前より頼んでおいた物を先日のドイツ・ミュンヘンショーで
引き取って来たばかりの物ですが、光沢が良く大変美しい標本です。
日本とは気候条件が異なるのでしょうか、歴史を重ねた輝安鉱ですが殆ど錆びておりません。

 JQ-MK105  Quartz (Japanese twin)   水 晶 (日本式双晶)

山梨県山梨市牧丘町 乙女鉱山

標本左右 40mm  入札開始価格 ¥280,000
 
我国が世界に誇る鉱物標本の西の横綱が市ノ川鉱山の輝安鉱なら、
東の横綱は乙女鉱山の日本式双晶でしょう。
1875年(明治8年)に函館にて開催された内国博覧会の甲斐の国(山梨県)ブースに並べられていた
山梨県産水晶の中に混じる平板状の変わった蝶形の結晶を、ドイツ人鉱物研究家の
Von Rathが買い求め、
母国ドイツに持ち帰えった事がきっかけとなり、この傾軸式双晶は「日本式」と命名され世界的に知られる事となりました。
1900年(明治33年)にパリで開催された万国博覧会の日本の出品審査官として、
地質調査所技手であった小川啄治がフランスに渡ることになりましたが、
現地での生活費の足しになるからと調査所の先輩である 巨智部忠承から教えられ、
乙女鉱山の日本式双晶を行李一杯持って行きましたが、
果たしてそれらの一部を現地の標本屋に売却した結果、
なんと半年ほどの滞在経費が賄えたと小川は報告書に記しております。
乙女鉱山の日本式双晶が世界的な標本になるのに小川が一役買った感じですが、
我国初のノーベル物理学賞受賞者である湯川秀樹は、小川啄治の三男に当たります。

  JQ-MK401  Quartz (Japanese twin)   水 晶 (日本式双晶)

長崎県五島市奈留町 永這水晶岳

標本左右 68mm  入札開始価格 ¥120,000
長崎県五島列島の奈留島も乙女鉱山と並んで日本式双晶の有名な産地です。
ここは堆積岩の砂岩中に網目状に走る石英脈に成長した水晶で、
それ以外の鉱物はほとんど現れない単純な産状です。
脈の膨らんだ部分にこの様な美しい日本式双晶が見られます、
双晶していない普通の水晶より殆どの場合大型に成長していて、
鉱物の成長スピードを考えるうえで重要なヒントが含まれている感じが致します。
産地は山の上なので水に乏しく、採った双晶を担いで下山し
民宿の外の波打ち際で泥を洗い落とす作業は格別でした。
平成13年の大規模な町村合併で五島市に併合後、
この産地は市の教育委員会により厳重に管理されており、採掘は事実上出来なくなりました。

JQ-MK301  Quartz (Japanese twin)   水 晶 (日本式双晶)

長野県南佐久郡川上村 川端下(かわはけ)

標本左右 38mm  入札開始価格 ¥40,000
 
長野県と山梨県、埼玉県の境目付近に位置する長野県川上村には何箇所かのスカルン鉱床が存在し、
その一つに川上村川端下があります。稜線を跨いだ東側は有名な甲武信鉱山で、
戦時中は鉄(磁鉄鉱)などを目的に採掘されました。
川端下や甲武信鉱山などで産する灰鉄柘榴石〜灰礬柘榴石中には、
微細なものですが自然金(エレクトラム)が含まれます。
この柘榴石を大量に摺り潰して金を集めていた記録が残っており、
川端下は武田信玄の軍資金を生んだ隠し金山だったという説も肯けます。
1970年代に、国立科学博物館に勤務されていた鉱物界の大先輩である今吉隆治先生から
川端下採集行のお話を聞かせて頂いたことがありました。
この川端下や甲武信鉱山は大変な山奥にあり、東京からでも中々行き難い産地でしたので、
そのお話を聞いてからは行ってみたくて悶々としていました。
・・・・・「川端下の水晶坑跡に行ってみたら、坑口の周りは水晶だらけで目を瞑って拾っても皆水晶だった、
その中には大型の日本式双晶も幾つか混ざっていた」 と言うものです。
果たして1976年の5月に念願の川端下に行く機会を得ましたが、
崩れた坑口の周りは苔むしていて深い静けさに包まれていました。
その中で2箇所ほど地面が少し窪んでいて、ここが今吉先生が掘った跡らしいなと感じました。
早速その周囲を掘りますと、地l表から30センチほどの深さまでは殆ど水晶と岩石の集まりです、
数時間の作業で背負いきれない程の水晶が集まり、やはり今吉先生の話は本当でした。
日本式双晶も幾つか見つかり満足して山を下りた事を覚えています。
 

 JQ-MK701  Quartz  水 晶  (まりも入水晶)

大分県豊後大野市緒方町 尾平鉱山蝙蝠坑

標本高さ 130mm  入札開始価格 ¥40,000
 
 尾平鉱山はスカルン鉱床中の錫や銅などを目的に採掘された鉱山で、
スカルン鉱床の特徴の一つとして多くの種類の鉱物が産することが挙げられます。
特に硫砒鉄鉱の長く伸びた結晶や、大型の斧石、ピンク色の美しい蛍石などは
海外のコレクターにも高い人気を誇っています。
そしてこの内部に小さな毬藻が入り込んだ様な通称「毬藻入水晶」も有名です。
毬藻の正体は、緑泥石ともクーク石とも言われていますが良く分かりません。
灰色の雲のように見える部分は角閃石類の微細な結晶集合です。

 Q-MK601  Morion  黒 水 晶   岐阜県 中津川市 蛭川田原

標本高さ 74mm  入札開始価格 ¥35,000

岐阜県蛭川地域は黒雲母花崗岩(御影石)の石切り場が数多く存在していました、
この花崗岩中にはマグマから冷えて固まる最終段階で余剰となったガスが含まれていて、
丁度花崗岩の中にガスの泡が取り込まれている状態が出現します。
その泡の内部は花崗岩を構成する鉱物や、微量に含まれていた希少元素などが集まり
自由に大きく結晶できる環境です、ここにペグマタイト鉱物が見られます。
画像のような美しい大型の水晶や長石、トパーズ、緑柱石など、花崗岩中のペグマタイトポケットは、
貴重な鉱物標本の宝庫です。但し、石材を掘る側にはこの空隙は商品にならない邪魔な存在です。
昔はこの部分を無造作に捨ててあり、その中から各種ペグマタイト鉱物は採り放題でした。
しかし、近年は中国やインドを始めとする国々から良質で安い石材が輸入され、日本の採石業は瀕死の状態です。

 JQ-MK501  Amethyst  紫 水 晶   栃木県宇都宮市篠井町 富井鉱山

標本左右 90mm  入札開始価格 ¥150,000

 
 栃木県足尾山地周辺には第三期の火成活動による中小の金属鉱山が点在しています。
その中でも宇都宮市篠井町で硫化鉱を中心に採掘されていた富井鉱山では、
脈石に当たる石英の中の一部に大変美しい紫水晶が見られました。
濃い紫色ではなく上品な感じのいわゆる「藤色」で、
控え目ななかにも一本筋の通った古き日本女性の趣です。

 JQ-MK510  Amethyst  紫 水 晶   宮城県白石市小原 雨塚山

標本高さ 75mm (紫水晶部分 40mm) 入札開始価格 ¥50,000
 
 日本で一番美しいと思われる雨塚山の紫水晶です。
安山岩中の石英脈に成長したもので、古くは印材や飾り石用として掘られていたものです。
堀跡のズリを探すと小さいながらも多少の紫水晶は拾えましたが、
水晶ブームに乗じたマナーの悪い乱掘に懲りた地権者により入山禁止の措置が取られていて、
現在では採集はできません。 この標本は母岩付きで産状の良く分かる優れたものでしょう。

 JQ-MK508  Amethyst  紫 水 晶   広島県江田島市 大柿町大君(能美島)

標本高さ 67mm (紫水晶部分 43mm) 入札開始価格 ¥80,000

 花崗岩ペグマタイト中に見られる紫水晶で、一部煙水晶とゾーニングを示す事が普通です。
この様な産状の紫水晶は一般的に濃い色合いが特徴で、京都府広野や滋賀県山崎山、
他国では韓国南部の慶州(彦陽)などが知られています。

  CB-MK001  Rhodochrosite   菱マンガン鉱

北海道古平郡古平町 稲倉石鉱山

標本左右 95mm  入札開始価格 ¥80,000
 
 稲倉石鉱山から産する菱マンガン鉱は、沈殿して成長した色の濃い縞状の物と、
この様な結晶質の物の二通りが見られます。鐵興社が大規模に採掘をしていた第二次世界大戦前後には、
この様な菱マンガン鉱は沢山見られ、海外でも良く知られる有名標本となりましたが、
昭和59年に閉山してからは次第に出回る標本も少なくなり、
その美しい色合いと相まって現在では人気度とともに価格も高騰の一途を示しています。

  SIL-MK101  Topaz   トパーズ   岐阜県中津川市蛭川田原 岩畔石材

標本高さ 46mm  入札開始価格 ¥180,000

 前出の黒水晶のところでも述べましたが、
花崗岩ペグマタイトから産する人気鉱物の一つであるトパーズの良品です。
この標本を参した岐阜県蛭川(昔は苗木地方と呼ばれていた)と、
滋賀県の田上山から産するトパーズは世界的に有名で、
明治期に帝国大学(現・東京大学)の初代地質・鉱物学教授として招聘された
ドイツ人エドムンド・ナウマンが学生を連れての野外巡検で田上山を訪れた時に、
授業そっちのけで学生達を動員してトパーズを掘らせた事があり、
これが学生たちの反感を買って揉め事に発展した事件がありました。
ナウマンの生まれ故郷であるザクセン地方では、
シュネンケンシュタインと言う世界的に良く知られたトパーズの産地があり、
ナウマンも恐らくこれが世界的なものと考えていたでしょう。
ところがここのトパーズ気成脈中の脈性トパーズで、単独の大型の結晶はあまり見られません。
それに比べて苗木や田上山から見つかる物は結晶の明瞭な大型のトパーズです。
授業そっちのけでトパーズ探しをするのも分かる気がします。
それにしても当時のお抱え外国人教授の報酬は桁違いで、
ナウマンの月給は当時の総理大臣のそれと同じ位だったそうですから驚きです。
この標本はいわゆる庇面式の結晶で、割れや欠けの殆ど無いほぼ完璧なものです。
蛭川地域の石切場がほぼ全滅の現在では得難い貴重標本でしょう。

 SIL-MK103  Topaz   トパーズ   滋賀県 大津市 田上山 中澤晶洞

標本左右 78mm  入札開始価格 ¥80,000


 田上山一帯は生い茂った植林の山でしたが、
木材需要の高まりから殆どが伐採されその後の計画的な植林が進まなかった事から、
風化した花崗岩の山肌がむき出しの有様となりましたが、
それが幸いしてか鉱物採集にはペグマタイトのガマの発見が容易くなり好都合でした。
1980年代に地元の熱心な鉱物収集であり研究家でもあった中澤和雄氏が、
長年の苦労が開花して小さななペグマタイト脈の一部を見つけました。
早速掘り崩して行くと、ガマ(晶洞)が開きそれがどんどんと広がって行きました。
やがて人が入れる程の広さとなり、その中には黒水晶や各種長石、
雲母などと共に大型の幾つものトパーズが見つかったのです。
他人に知られないように何日も通って掘り出したトパーズの数は膨大で、
一番大型のものは電話機位あったそうです。
この電話機とは携帯電話ではありません!
当時家庭に置かれていた黒色の置き型の物で、幼児の頭位の大きさです。
今回の標本は決して大きな物ではありませんが、微斜長石や曹長石、
チンワルド雲母を伴い庇面式の結晶です。
結晶の両端部分と中心部分で淡褐色と薄水色とが異なる色が見られる特有のものです。
但し、直射日光や明るい照明に晒すとこの色は飛んでしまいがちですので、
保管には黒布で包むなど注意が必要です。

 SIL-MK202  Beryl   緑 柱 石   茨城県桜川市真壁町 山ノ尾

標本高さ 29mm  入札開始価格 ¥45,000

 筑波山の北側に位置する山ノ尾は、東京から近い事もあって日帰りできる便利な鉱物産地でした。
現在ではすべての採石場が止めてしまい、またコロコロとした24面体の赤くて美しい鉄礬柘榴石を産した
大きな掘場跡の洞窟も台風による鉄砲水で壊滅してしまい、鉱物産地としての魅力は低くなりました。
この標本は粘土の詰まったペグマタイト脈から掘り出した物で、透明感と照りに優れた良品です。
色こそアクアマリンとまでは行きませんが、カットしてルースのコレクションにも使えるクオリティーでしょう。

 SIL-MK201  Beryl   緑 柱 石   岐阜県中津川市 蛭川田原 磯部石材

標本高さ 48mm  入札開始価格 ¥40,000

 蛭川の花崗岩ペグマタイト中から産出緑柱石で、この地域の物としては大型の結晶です。

以 上